思ったより結構すぐに自宅に帰ってきた。ただし、今回は休暇ではなく出張だ。家に帰って、手に感覚が染みついたドアを開けて、ショックだったことがある。
家が、変わっている。しばらく来ないうちに、でっかいテレビがあったり、見たことがない家具があったり。極めつけは、私の部屋にでっかいベッドがあった。そして、それに対する強い不快感。
自分の部屋が物置になるのは仕方がない。私はここに住んでいないわけだし、物事を合理的に考えるとそうなるのは仕方がないのだ。しかし同時に、自分の部屋につみあがった荷物や見覚えのない家具を見ると、この家に自分の居場所は少しずつなくなってきていると感じてしまう。十数年住んだ自分の空間を侵害された錯覚に陥ってしまう。東京の家は、もう慣れてはきたけれどまだ完全に「私の家」ではない。そういった意味で、実家に居場所がなくなることは、私にとって所属の喪失を意味したのだ。
ただ反対に、当たり前のようにいつもの場所においてある自分のお茶碗やお箸を見ると、やっぱりうれしい。そうした一つ一つが、自分がここにいて良いというしるしのように感じる。
仕方がないのだけれど、まだ受け入れられない現実である。ただわがままが許されるなら、私に家族が見つかるまでは、おちゃわんとお箸は置いといてほしいなあ。